今回は、経営者の皆様の「法定福利費(社会保険料)」に直結する、非常に重要なお知らせです。実は、2026年から2035年にかけて、日本の社会保険制度は過去にないレベルの「改定ラッシュ」を迎えます 。
「またコストが上がるのか…」と頭を抱えたくなるかもしれませんが、制度の変更点を正しく理解し、今から先手で対策を打てば、この変化を「採用力強化」や「福利厚生の充実」に変えることも可能です。
まずは、今後何が起こるのか、その全体像をお伝えします。
「健康保険料値下げ」の裏に隠れた実質負担増(2026年4月〜)
2026年3月頃、健康保険料率が34年ぶりに引き下げられました 。これだけ聞くと嬉しいニュースに思えますが、手放しでは喜べません。
翌4月には新たに「子ども・子育て支援金」という制度がスタートし、医療保険加入者全員から支援金が徴収されるようになりました。この支援金も社会保険料と同様に「労使折半」となるため、会社側にも新たな負担が発生します 。
結果として、健康保険料の値下げ幅よりも支援金の負担額の方が大きくなり、トータルで見ると会社負担は「純増」となるケースが大半です 。さらにこの支援金率は、2028年度にかけて段階的に引き上げられる予定です 。
パート・アルバイトの人件費を直撃!「106万円の壁」撤廃(2026年10月〜)
多くの中小企業にとって最もインパクトが大きいのが、2026年10月に実施される「106万円の壁」の撤廃です 。
これまで、パートやアルバイト従業員が社会保険に加入する要件の一つに「月額賃金8.8万円(年収約106万円)以上」という基準がありました 。これが完全に撤廃されます 。
さらに、現在「従業員51人以上」となっている企業規模要件も、2027年10月から段階的に引き下げられ、2035年10月には10人以下の零細企業を含む「全企業」で完全撤廃される予定です 。
これにより、飲食、小売、介護、保育などパート比率が高い業種では、今後数年間のうちに社会保険料の会社負担が激増することになります 。
役員報酬にも影響。厚生年金「標準報酬月額」の上限引き上げ(2027年9月〜)
影響を受けるのはパート従業員だけではありません。役員や高所得の従業員にも直撃する改定が控えています。
2027年9月から、厚生年金保険料の計算基礎となる「標準報酬月額」の上限が、段階的に引き上げられます 。 実はこの上限額は、1989年以降32年間ずっと「65万円」で固定されていました 。これを利用して、月次報酬を抑えつつ賞与等でバランスをとることで社会保険料を適正化する手法が、中小企業経営の常識として使われてきました 。
しかし、この上限が65万円から最大75万円(2029年予定)へと引き上げられることで、月額66.5万円以上の報酬を受け取っている役員・従業員の厚生年金保険料は年々増加していくことになります 。
「避けられないコスト増」にどう立ち向かうか?
裏表なく率直にお伝えすると、今回の社会保険改定ラッシュによる負担増は、企業努力だけで吸収するのは非常に困難な「避けられないコスト」です 。
何も対策をしなければ、会社のキャッシュフローや利益率を確実に圧迫します 。 しかし、打ち手はあります。
例えば、以下のような手法を複合的に組み合わせることで、コスト増を相殺し、さらには従業員の満足度向上につなげることが可能です。
役員報酬設計の抜本的な見直し
選択制DC(企業型確定拠出年金)やiDeCoの活用による適正化
法人保険を活用した総合的な財務・福利厚生設計
同業他社が後手に回る中、いち早く対策を講じることは、利益を守るだけでなく「働きやすい会社」としての採用競争力に直結します 。
御社の規模や業種によって、コスト増が本格化する「Xデー」は異なります 。 「うちの会社への影響額は具体的にいくらになるのか?」「今からできる対策は何か?」と気になられた方は、ぜひ一度ご相談ください。貴社の状況に合わせたシミュレーションと解決策をご提案いたします。

