「将来の相続税が心配」「生きているうちに子どもや孫に資金を渡してあげたい」
そう考えたときに選択肢となるのが「生前贈与」です。
生前贈与はうまく活用することで節税対策や家族の支援につながる一方、ルールを知らずに行うと思わぬ税金がかかったり、家族間のトラブルに発展したりするケースもあります。
今回は、生前贈与のメリット・デメリットや、失敗しないための具体的なポイントをわかりやすく解説します!
そもそも「生前贈与」とは?
生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を家族や特定の相手に無償で渡すことを指します。
亡くなった後に財産が引き継がれる「相続」とは異なり、「いつ・誰に・何を・どれだけ渡すか」を自分で自由に決められるのが大きな特徴です。
生前贈与の4つのメリット
生前贈与を行う主なメリットは以下の4点です。
相続税の節税につながる
生前に財産を移転させておくことで、将来発生する「相続財産(亡くなったときの財産総額)」を小さくできます。結果として、将来かかる相続税を抑える効果が期待できます。
渡したい相手へ確実に譲れる
相続の場合、遺言書がないと「法定相続分」をもとに話し合いで決めるのが原則です。生前贈与なら、お世話になった人や孫など、本人が「渡したい」と思った相手に確実に財産を渡せます。
必要なタイミングで支援ができる
子どもの結婚や出産、住宅購入、孫の進学など、人生でまとまった資金が必要になるタイミングでピンポイントに援助ができます。
非課税の特例制度が使える
暦年課税の110万円枠とは別に、特定の目的であればまとまった額を非課税で贈与できる特例が用意されています。
住宅取得等資金の贈与
住宅購入や新築などのための資金援助(一定額まで非課税)
教育資金の一括贈与
1,500万円まで非課税
結婚・子育て資金の一括贈与
1,000万円まで非課税
生前贈与の4つのデメリットと注意点
メリットが多い一方で、あらかじめ把握しておくべき注意点やリスクもあります。
税率が相続税よりも高め
贈与税の税率は、一時に大きな金額を渡すと相続税よりも高く設定されています。一度にまとめて渡してしまうと、かえって高い税金を払うことになるため注意が必要です。
「生前贈与の持ち戻し(加算期間)」に注意!
相続発生前(亡くなる前)に行われた生前贈与は、一定期間分が「相続財産」に書き戻されて相続税の計算対象となります。
税制改正により、この加算対象期間は従来の3年から「最大7年」へと段階的に延長されています。「亡くなる直前に慌てて贈与しても、節税効果が得られにくくなっている」点には注意が必要です。
自身の老後資金が不足するリスク
子どもや孫に親心で資産を渡しすぎた結果、自分たちの老後生活費や医療・介護費用が足りなくなってしまっては本末転倒です。
家族トラブル(争族)の原因になることも
特定の相続人(例:長男だけ)に偏った生前贈与を行うと、他の兄弟姉妹から不満が出ることがあります。生前贈与も「遺留分(法定相続人に最低限保障された取り分)」の計算対象に含まれるケースがあるため、配慮が必要です。
生前贈与と相続の違いまとめ
生前贈与
・渡すタイミング:生きているうち
・相手の選択:自由に指定可能
・適用される税金:贈与税(基礎控除: 年110万円)
・主な目的:生前のアセットシフト・必要な時期の支援
相続
・渡すタイミング:亡くなった後
・相手の選択:原則として法定相続人(遺言書なしの場合)
・適用される税金:相続税(基礎控除: 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人数)
・主な目的:死後の財産承継
失敗しない!生前贈与を成功させる3つのポイント
「贈与契約書」を毎回作成する
税務署から「名義預金(実質的に親の資産とみなされること)」と疑われないためにも、贈与を行うたびに「あげた・もらった」の合意を示す贈与契約書を作成し、証拠を残しておきましょう。
長い期間をかけて計画的に行う
年間110万円の基礎控除枠を利用しながら、10年・15年と時間をかけて少しずつ渡すのが最も確実な節税アプローチです。
優先順位は「自分たちの老後」を一番に考える
まずは「自分たちが不自由なく暮らせる資金」をしっかり残した上で、余剰資金の範囲内で贈与計画を立てることが失敗を防ぐ最大のコツです。
まとめ:悩んだら専門家に相談を!
生前贈与は、早めに取り組むことで節税やスムーズな資産承継につながる有効な手立てです。
しかし、財産額や家族構成、最新の税制改正(持ち戻しルールなど)によって「生前贈与が得か、相続まで待つのが得か」の最適解は大きく変わります。
具体的な金額のシミュレーションや契約書の書き方に不安がある方は、税理士や専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

