基礎控除額の引き下げ以降、相続税の課税割合は全国的に10%を超えました。もはや相続税は「一部の富裕層だけの問題」ではありません。
そこで多くの方が検討するのが、不動産を活用した相続税対策です。現金で保有するよりも相続税評価額を引き下げることができるため、非常に有効な手段の一つです。しかし、安易に「不動産を買えば安心」と考えるのは危険です。場合によっては、その対策がご家族のトラブル(=争族)の火種になることもあります。
「節税効果」だけで選んではいけない!税制改正の落とし穴
不動産を活用した節税策は王道ですが、近年は税務署の目も厳しくなり、税制改正による規制も強化されています。
特に注意しておきたいのが、「貸付用不動産の5年ルール」をはじめとする各種ルールの複雑化です。直前での駆け込み対策や、実態の伴わない不動産運用は、特例が否認されて想定通りの節税効果が得られないリスクがあります。税務上の要件を正確に満たしているか、慎重な見極めが不可欠です。
なぜ不動産が「争族」の引き金になるのか?
税金は安くなったとしても、残されたご家族がもめてしまっては本末転倒です。不動産がトラブルになりやすい最大の理由は「物理的に分けにくい」という点にあります。
例えば、「長男には実家とアパートを、次男には現金を」と考えていても、不動産の価値に対して手元に残る現金が少なければ、公平な遺産分割ができなくなります。また、不動産を共有名義にしてしまうと、将来の売却や建て替えの際に全員の同意が必要となり、次の世代にまで問題を先送りすることになりかねません。
笑顔で引き継ぐための「3つの柱」
トラブルのない円満な相続を実現するためには、節税対策だけでなく、以下の視点が欠かせません。
現状の正確な把握
まずは現在の財産を客観的に評価し、誰にどれくらいの権利(遺留分など)があるのかを整理します。
納税資金と分割案の確保
不動産中心の資産構成の場合、いざという時の「納税資金」が不足しがちです。生命保険の活用なども含め、現金化しやすい資産をバランスよく準備します。
専門家チームとの連携
税理士による正確な税務評価、弁護士による法務的なトラブル防止策など、各分野の専門家が連携してサポートする体制が解決の鍵となります。
まとめ
不動産を活用した相続対策は、非常に強力である反面、諸刃の剣にもなります。大切なのは、「税金を減らすこと」をゴールにするのではなく、「ご家族が揉めずに、笑顔で財産を引き継げること」をゴールに設定することです。
少しでも不安を感じたら、まずは現状の整理から始めてみませんか?お気軽にご相談ください。

